神田駅東口から徒歩1分の不妊治療・婦人科

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生殖補助医療(ART)

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Medical生殖補助医療(ART)

体外受精

体外受精とは

体外受精とは、排卵近くまで発育した卵子を体外に取り出し、体外で精子と受精させ、培養して分割した受精卵を子宮内に戻す治療です。体外受精は「卵管が通っていない方」「精子の数が少ない方」「精子に対する抗体をお持ちの方」「一般不妊治療(タイミング法、人工授精)が無効な方」が適応となります。

また、体外受精で受精が起こらなかった場合や、体外受精では受精が困難なほど精子の状態が良くない場合には、細い針を使って卵子の中に精子を1個注入する顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)を行います。

培養を行った受精卵は凍結保存をすることで移植に最も適した時期に移植をしたり、期間を置いてから移植を行うことができます(凍結融解胚移植)。

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体外受精について

体外受精について

体外受精胚移植は従来の不妊治療では妊娠できなかったご夫婦に対する画期的治療法として1978年、イギリスで最初の出産例が報告され、日本では1983年に最初の体外受精児が誕生しました。
2017年に生殖補助医療(体外受精胚移植や顕微授精、凍結胚移植)で誕生した赤ちゃんは56,617人で10年前に比べると2.9倍に増加し、その年に生まれた出生児全体の約17人に1人(およそ6%)を占めています。日本で体外受精による不妊治療が始まってからの出生児数累計は53万人を超えています。

体外受精前の準備

  • 男女とも必ず禁煙を!精液検査が問題なくても、精子の質と妊娠率に影響します。
  • 女性は、葉酸(400μg/日)とビタミンD(少なくとも1000IU/日)、マルチビタミンのサプリ(メーカーは問いません)を服用してください。
  • ご夫婦の1年以内の感染症採血結果と住民票(ご夫婦の氏名が続柄入りで記載されている取得後6ヶ月以内のもの)が必要になります。外国籍の方は在留カード、特別永住者証明書もしくはパスポートをご持参ください。事実婚の方は、お互いの戸籍謄本および住民票を治療開始までにご提出お願いします。

体外受精の実際

体外受精では良質な成熟卵子をより多く採取することが妊娠率の向上へとつながります。そのため、可能な方には卵巣刺激をして卵胞を多く育てます。
ただ、患者さまおひとりお一人、年齢や卵巣機能が異なり、また同じ患者さまでも周期ごとに卵巣のコンディションが変わります。患者さまのご希望も様々です。
そのため、卵巣刺激をせずに完全自然周期で行う場合や低刺激周期とする場合もあります。

Step1卵巣刺激

体外受精における卵巣刺激法については、いくつかの方法がありますが、実際にスタートする際には、AMH(抗ミュラー管ホルモン)や実施周期の月経開始3日目のホルモン値、経腟超音波検査での卵巣の状態(胞状卵胞数等)を考慮し、患者さまのご希望も伺いながら決定しています。

卵巣刺激法

自然周期

自然周期で成熟してくる卵胞は1〜3個のことが多く、キャンセル率が高くなってしまいます。しかしながら、注射に伴う副作用がないことから、より自然に近い体外受精を希望される方はこの方法を用いて実施しています。
あるいは、卵巣機能が低下し排卵誘発剤を使用しても複数卵子の回収の見込みが低い方(AMHが極端に低い方等)はこの方法を用いる場合が多いです。
ただし、AMHが低いと自然周期しかできない、というわけではなく、周期毎に卵巣の状態は異なっており、AMHが低い方でも、排卵誘発剤注射によって複数の卵子の採取が見込める周期は、注射を行うこともあります。

低刺激周期

排卵誘発剤の内服に加えて、注射を1日おき程度に数回注射し、卵胞数を増加させることで、採卵や、胚移植および胚凍結のキャンセル率を低下させ、体外受精の採卵あたりの妊娠成績を上昇させることが可能となります。また、排卵誘発剤に反応するだけの卵巣予備能がある方であれば、この方法での採卵数が平均5個程度となっており、この程度のマイルドな刺激であれば卵巣過剰刺激症候群(OHSS)はほとんど回避できます。副作用も比較的少なく、キャンセル率も比較的低く、かつ妊娠率も十分に出せる方法です。

刺激周期

刺激周期

排卵誘発剤の注射を連日打って卵巣を刺激する方法です。この方法では、平均10個程度の卵子を採取できます。しかしながら、排卵誘発剤の注射薬を、平均8日間(多くは7~10日間)、連日打つ必要があります。数多くの卵子が採取できるため、胚移植や胚凍結のキャンセルは低く、妊娠率も高い一方で、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクと薬剤の経済的な負担は大きくなります。
この方法では、連日の注射に伴い卵胞ホルモンが上昇するため、採卵までに排卵してしまわないよう薬を併用します。その薬の違いや使用時期の違いによってロング法、ショート法、アンタゴニスト法と区別されています。
妊娠成績に大きな差はありませんが、卵巣過剰刺激症候群の副作用はロング法、ショート法に比較して、アンタゴニスト法のほうが軽い傾向があります。

卵巣刺激法 自然周期 低刺激周期 刺激周期
排卵誘発剤 なし
クロミッド
レトロゾール
クロミッド+注射
レトロゾール+注射
ロング法
ショート法
アンタゴニスト法
平均採卵数 1-3個 約5個(3-7個) 約10個(5個~)
体への負担 少ない 少ない 大きくなる可能性あり
薬剤料の経済的負担 軽い 軽い 重い
胚移植キャンセル率 高い 比較的少ない 低い
凍結胚ができる確率 低い やや低い 高い
メリット
  • 身体的な負担を最も軽減できる。
  • 毎月採卵できる。
  • 注射の回数が少ないため負担が少ない。
  • 卵巣過剰刺激症候群のリスクが比較的低い。
  • 自然周期より採卵できる卵子が多いため、受精卵が得られる可能性が高い。
  • 複数の卵子を得ることにより、複数の受精卵・凍結胚が得られる可能性が上がる
デメリット
  • 卵胞が少ないため、「採卵前の自然排卵による採卵キャンセル」「採卵しても卵子が回収できない」リスクが他の方法より高い。
  • 卵子が回収できても、その卵子が受精しなかったり、育たなければ移植できない。
    →採卵を繰り返す可能性が高くその場合、経済的な負担が重くなる
  • 1回の採卵で得られる卵子の数が刺激周期に比べて少ない可能性があるため、凍結胚が得られなかったり、得られても数が少ない可能性がやや高い。
  • 毎日注射を打つ必要があることによる身体的・精神的・経済的負担。
  • 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の可能性。重症OHSSにならないよう十分注意して卵巣刺激を行いますが、稀に入院が必要になる可能性があります。
  • *当クリニックでは採卵前周期のピルは日程調整などの必要がない限り基本的には使いません。
  • *排卵誘発剤(特に注射)を使用する刺激法では、全胚凍結することがほとんどです。

Step2採卵

採卵

卵子は卵巣の中に発育してくる卵胞の中に入っています。採卵では、経膣超音波で確認しながら、膣壁から卵胞を針で穿刺して卵胞液を吸引し、その中に卵子があるかを顕微鏡で探します。

採卵時の麻酔について

採卵は無麻酔でも可能ですが、基本的に麻酔をした上で実施します。主な麻酔方法は、以下の2つの方法です。

局所麻酔
採卵前に鎮痛剤の坐薬を入れた上で、針を刺す部位に局所麻酔薬を注射して麻酔する。
静脈麻酔
点滴をした上で、軽い静脈麻酔を行う。

麻酔に伴う副作用は通常ほとんどありませんが、静脈麻酔の場合は麻酔中の呼吸抑制や覚醒後の嘔気、嘔吐等が出る場合があります。卵巣の位置が問題なく、発育してきた卵胞数が特別に多くなければ、局所麻酔でも十分です。卵胞が1個のみの場合、麻酔薬にアレルギーがある場合、ご本人が麻酔を希望されない場合、鎮痛剤の坐薬のみで採卵することもあります。

当クリニックでは、朝9時までに採卵を行い、1~2時間程度安静にしていただいた後、帰宅していただいています。静脈麻酔で採卵された方はもう少し安静が長くなることもありますが、大抵はお昼までに帰宅できます。
採卵後は、感染予防のため抗生剤を内服していただきます。

ご主人の精子は採卵当日に必要となります。採卵当日の朝、ご自宅で採取した精液を当クリニックにご持参いただきます。院内採取希望の場合は、奥様の採卵で卵子が回収されたことが確認された後、順次採精室にご案内いたします。なお採精室は有料(1回税別¥2,000)となります。
採卵日のご主人の禁欲日数は、2日程度で調整していただきます。
長期間の禁欲は、精子の質の低下につながりますので長すぎる禁欲は控えてください。

ご主人の出張などで当日の精液採取が困難な場合や、精子の状態が極めて不良な場合は、事前に精子をバックアップ目的に凍結保存(精子凍結)していただきます。凍結精子を使用して体外受精を行う場合には、融解後の精子の運動率や受精能が低下することが多いため、顕微授精を用いる可能性が高くなります。

Step3受精

受精の方法には2通りあります。
通常の体外受精(IVF)は、精液を洗浄濃縮後、良好運動精子を回収し、シャーレの中で卵子と一緒に培養します。
精子が自力で卵子に到達し、受精するのを待つのでより自然な状態での受精であることがメリットですが、受精障害や多精子受精を起こす方がそれぞれ約5%いらっしゃることが欠点です。

もうひとつは顕微授精(ICSI)という方法です。繊細な針を用いて精子を直接卵子に入れます。精子の状態が極めて不良で体外受精による受精が見込めない場合や、過去の体外受精で受精が起きなかった場合は、顕微授精を行います。

体外受精(IVF)

体外受精(IVF)

顕微授精(ICSI)

顕微授精(ICSI)

体外受精と顕微授精を組み合わせて同時に行うsplit法を行うこともあります。精液所見が不良ではあるが、体外受精でも受精の可能性があり、しかしながら受精卵がゼロ、という事態を避けたい場合は、採卵した卵子を2群に分けて、一方には体外受精を、他方には顕微授精を行うものです。
この方法だと、顕微授精を行っておくことにより受精卵ゼロという事態を回避できる可能性が高くなり、また体外受精を行った卵子も受精していれば、胚移植を行う際に、より自然に近い受精である体外受精により受精した胚を優先して移植できる、というメリットがあります。

顕微授精を行っても受精しない卵子もあります。また顕微授精によって卵子が変性してしまう場合もありますので、体外受精にするか顕微授精にするか、またsplit法の場合、何個ずつ2群に分けるかなどは、当日の卵子・精子の状況、今までの治療歴によって判断します。

当クリニックでの顕微授精での工夫

当クリニックでは受精率向上のために、Piezo-ICSI紡錘体可視化装置を導入しています。Piezo-ICSIによって、より愛護的に顕微授精操作を行うことができ、紡錘体可視化装置により顕微授精時の卵子の染色体の損傷を回避するとともに、顕微授精実施のタイミングをより最適な条件で行えるようにしています。

Piezo-ICSI

Piezo-ICSIは精子を卵子内に入れる際の特殊な手技です。従来のICSIより卵子に優しく、特に卵子が脆弱になっており顕微授精に耐えられなくなっている症例にも有効と言われています。
当院では顕微授精全例にPiezo-ICSIをおこなっています。

紡錘体可視化装置

顕微授精は通常、卵子の第一極体の場所を目印に、一定の方向から微細な針で精子を注入します。これは、第一極体の近くに通常ある紡錘体とよばれる染色体を含む重要な構造物をなるべく傷つけないようにするためです。しかし実際には、紡錘体が第一極体から離れて存在することもあり、第一極体の位置確認だけでは、顕微授精を行う際に紡錘体を傷つけてしまう恐れがあります。
そこで当クリニックでは、紡錘体可視化装置による顕微授精を行っております。紡錘体可視化装置は、肉眼では見ることの出来ない紡錘体の位置を確認しながら、傷つけないように顕微授精を行うことが可能です。
また、紡錘体が観察できない場合、卵子が成熟していない場合があるため、時間をおいて再度観察し、卵子の成熟を確認してからICSIを行います。これにより、受精率をより高めることが可能となります。

Step4胚培養

受精後、胚はインキュベーターで最大7日間培養します。体外受精において、卵子・胚は採卵から胚移植、胚凍結まで、管理された最適な環境で培養しなければなりません。培養室の質の維持は、培養成績に直結するため非常に大切です。
そのためインキュベーター管理を徹底し、胚培養液、培養に使用するオイルもより最適なものを選択しています。
また、非常用電源を備えていますので、万一の停電に対しても培養室、採卵室への電力供給が直ぐに途絶える心配はありません。

Step5胚移植

胚移植

移植では、柔らかいカテーテルを使用して、胚と少量の培養液を、超音波で子宮内膜を確認しながら、子宮内に入れます。
新鮮胚移植周期では、体外受精が開発された当初より、採卵から2日目、または3日目の初期胚(分割期胚)で移植されてきましたが、近年ではさらに体外で長期培養して5日目に胚盤胞で移植することが多くなってきています。5日目まで成長を確かめており着床直前の状態ですので、初期胚より高い妊娠率が期待でき、異所性妊娠も減らすことができます。
痛みはほぼないので麻酔は必要なく、所要時間は約10分です。経腹超音波ガイド下で胚移植を行う場合は、胚移植カテーテルを経腹超音波で見えやすくするため、胚移植のおよそ2~3時間前から、排尿をしないで尿をためていただきます。経腟超音波ガイド下に胚移植を行う場合(医師が指示いたします)には、尿をためていただく必要ありません。
移植直後の安静は妊娠率向上に寄与しないことが分かっているため移植後は特別な安静時間は不要でそのまま帰宅していただきます。

妊娠判定までの間は普段通りに過ごしていただいて構わず、仕事を休む必要もありません。ただし、子宮収縮につながるため、性交渉や激しい運動(エアロビクス、縄跳びなど)、非常に重い荷物を持つ、体を冷やす、などは避けてください。また、39℃以上の高温環境(サウナ、ホットヨガ、岩盤浴など)は胚発生に良くないという報告がありますので、避けてください。
出血や腹痛があっても途中で薬をやめず、指示通り使ってください。

Step6黄体補充

採卵後に黄体ホルモン補充し、体外受精・顕微授精により作られた胚が着床しやすくします。当クリニックでは安全性の高い天然型黄体ホルモン腟座薬を使用しています。

Step7妊娠判定

胚移植移植日から7〜10日(移植胚の日齢によって異なります)で妊娠の有無を正確に判定するために、hCGを血液検査で調べて判定します。

Step8胚凍結

排卵誘発剤を使用した刺激周期の採卵では、多くの場合複数の受精卵が得られますが、新鮮胚移植はおこなったとしても原則的に1個です。このため、移植した胚以外の胚が余ることがよくあります。その際には、余剰胚を凍結保存しておくと、凍結保存してある胚を融解して移植する(融解胚移植)ことにより、再度採卵することなく妊娠のチャンスを作ることができ、肉体的・経済的負担を減らすことが可能になります。
また、排卵誘発剤を使用した刺激周期で採卵し、体外受精・顕微授精を実施した場合、その周期にすぐ新鮮胚移植を行うよりは、一旦全て凍結保存し(全胚凍結)、凍結胚を翌周期以降に融解し移植する融解胚移植のほうが一般的に妊娠率は上昇します。
その理由として、排卵誘発剤を使用した刺激周期では、ホルモンの状況が自然妊娠時と異なるため子宮内の環境が着床に不利な状態になることが考えられます。また、クロミッドを使用した周期では、子宮内膜が厚くなりにくい場合もあり、これも新鮮胚移植周期での妊娠率をやや低下させる原因と思われます。

体外受精や顕微授精を行う前に、排卵誘発剤を使用した場合、卵胞が多数育ちすぎてしまうことがあります。この副作用が出ている状態で新鮮胚移植を行って妊娠すると、さらに一層卵巣が腫れて重篤な副作用が出てしまうことがあります(卵巣過剰刺激症候群)。この副作用を避けるため、卵胞が多数発育し、卵巣が腫れすぎた場合は、採卵したその周期は意図的に胚移植を行わず、胚を全て凍結保存し(全胚凍結)、卵巣の腫れが治まった翌周期以降に、凍結胚を移植することで副作用を回避し、かつ妊娠率を上昇させることが可能となります。

胚凍結法(ガラス化保存法)

胚の凍結保存はガラス化保存法で行います。
ガラス化保存法では、凍結保護剤を使用し、胚が入っている凍結液を直接液体窒素に接触させごく短時間で胚を凍結します。ガラス化保存法による凍結胚は、融解後の胚生存率が95~99%、妊娠率は30~45%となっています。
2016年に、日本で生まれた体外受精児(約5万人)のうち、約82%は凍結胚移植により生まれてきています。

  • 胚凍結法(ガラス化保存法)
  • 胚凍結法(ガラス化保存法)

凍結保存期間について

  • 胚の凍結期間は「夫婦として継続している期間で、女性の生殖年齢を超えない範囲」と決められています(日本産科婦人科学会「ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する見解」、2014年6月)。
  • お手続きがないまま更新日を迎えた胚(受精卵)、卵子、精子は、予告なく廃棄させていただきます。当クリニックからのご連絡はいたしませんので、ご注意ください。更新手続きは、保存期限の3ヶ月前から可能です。
  • 災害(天災、火災など)により凍結胚が損傷を受けたり紛失したりする場合があります。
  • 当クリニックの診療状況の変化(閉院、体外受精の中止等)により当クリニックでの凍結保存継続ができなくなる場合があります。そのような場合はその時点での当クリニックの最高責任者と協議していただき、他の医療施設へ移送するなど善処させていただきます。

アシステッド・ハッチング(AH)

凍結胚では、外側を覆っている透明帯が胚凍結により固くなることがあり、凍結胚の融解後に透明帯が破れず、孵化が出来ずに着床ができなくなる可能性があります(透明帯硬化によるハッチング障害)。ハッチングできなければ着床はできず、またハッチングに時間がかかった場合でも子宮との着床のタイミングが合わず、やはり妊娠に至らない可能性が高まります。このため、アシステッド・ハッチングという技術で透明帯を薄くしたり、穴をあけて孵化を手助けし、妊娠率を向上させることができます。当クリニックでは安全かつ短時間で行うことができるレーザー法で行っています。

加齢でも透明帯が硬くなるという報告があるため、融解胚移植のほか、女性の年齢が高い新鮮胚移植の場合もアシステッドハッチングをお勧めしています。

胚移植について

凍受精卵が移植可能な状態に成長できたら移植を行います。移植は細いカテーテルで行いますので、痛みは感じない方がほとんどです。採卵周期にそのまま移植を行う新鮮胚移植と、受精卵を凍結し次周期以降に胚移植を行う凍結融解胚移植があります。

凍結してある胚を移植する時期はいつでもいいわけではなく子宮内膜の状態と胚の時間を一致させる必要がありますので、ホルモン補充周期または自然周期により子宮内膜を調整し胚移植を行います。ホルモン補充周期はご自身の卵巣は休んでいただき完全に薬でコントロールする方法、自然周期はご自身の排卵後の自然なホルモンバランスを利用する方法です。
当クリニックではどちらの方法でも移植が可能です。妊娠率はどちらの方法でも変わりませんが、治療方法との相性のようなものがあります。

ホルモン補充周期

エストラーナテープ(または内服薬)と黄体ホルモンによりホルモン補充を行い、子宮内膜を着床に適した状態にする方法です。

  • 自然な排卵が起こらない排卵障害の方にも行うことができること、安定したホルモン環境を作ることができキャンセルの可能性が少ないこと、月経が始まれば来院日・胚移植予定日が決定できるので来院日数も最少となり日程調整がしやすいことがメリットとなります。
  • デメリットとしてはテープや膣錠の副作用(皮膚のかぶれなど)が起こる可能性やホルモン剤のコストがかかることが挙げられます。妊娠判定が陽性となった場合、自力でホルモンが十分出せるようになる妊娠9週の終わりまでホルモンの補充を続けます。その前にやめると流産につながりますので、ご注意ください。
  • ホルモン補充周期
  • ホルモン補充周期

自然周期

自然排卵に合わせて胚移植をする方法です。診察で排卵を確認後、凍結胚の日齢に合わせて胚移植日を決定します。
黄体ホルモン補充として、HCG注射と黄体ホルモンの内服があります。
ホルモン補充周期と比較し使用薬剤が少ないメリットがありますが、周期によりホルモン状態にばらつきがあること、排卵が正常に起こらなかった、移植日がちょうど日祝日にあたるなどの理由で胚移植がキャンセルとなる可能性があることがデメリットです。排卵日を正確に知るため、排卵前の来院回数が多くなる場合があるため、月経不順の方や頻回の通院が難しい方には向きません。

移植のオプション

SEET法について

胚盤胞まで育った培養液中に着床を促す成分が含まれていると考えられています。その培養液を胚盤胞とは別に凍結保存しておき、胚移植をする数日前にその培養液を融解して子宮内に入れることで、妊娠率が上がるという報告があります。ただし、培養液は少量であるため行える回数に限りがあります。
全例ではなく、主に反復不成功の方へのオプションとして行います。

2段階移植法について

胚盤胞移植に初期胚の移植を組み合わせるものです。1周期に2回胚移植を行います。最初に移植した初期胚により子宮内膜の着床準備が整い、次に移植する胚盤胞が着床しやすくなると考えられています。この方法では、移植胚が複数となるため、多胎妊娠が増える傾向にあります。グレードの良くない胚に対して行うこともあります。全例ではなく、主に反復不成功の方へのオプションとして行います。

スクラッチ法について

着床にはさまざまな物質が関わっていますが、移植する数日前もしくは前周期に子宮内膜を少し擦ることで、その物質が産生され着床準備が整うことにより、妊娠率が上がるという報告があります。全例ではなく、主に反復不成功の方へのオプションとして行います。

ヒアルロン酸含有胚移植用培養液

ヒアルロン酸やヒアルロナンといった成分が非常に多く含まれ、受精卵と子宮の初期接着を助けることにより妊娠率を向上させ流産率を減少させるという報告があります。全例ではなく、主に反復不成功の方へのオプションとして行います。

G-CSF子宮内注入法

顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を胚移植前に子宮腔内に入れることによって子宮内膜の厚さが改善し、妊娠率が大幅に向上したという報告があります。全例ではなく、子宮内膜が厚くならない方や反復不成功の方へのオプションとして行います。

hCG子宮内注入法

本来着床した胚から分泌されるシグナルであるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を、胚移植前に子宮腔内に入れることによって子宮内膜を着床に適した状態へと促し、妊娠率が向上したという報告があります。全例ではなく、主に反復不成功の方へのオプションとして行います。

PFC-FD療法

患者様自身の血液から抽出した血小板由来の成長因子を子宮内に注入する方法です。成長因子が細胞の成長や免疫に関わることで子宮内膜が十分に厚くなることが期待でき、そのことにより受精卵が着床する可能性が高くなると考えられています。全例ではなく、子宮内膜が厚くならない方や反復不成功の方へのオプションとして行います。

PFC-FD療法について

高度生殖補助医療の注意点

合併症が起こらないように十分留意して診療や手術・処置を行いますが、全ての医療行為には、過失がなくても避けられない合併症や偶発症が存在します。万一発生した合併症や偶発症に対しては、最善を尽くして対処させていただきます。

1.排卵誘発剤等の使用薬剤
排卵誘発剤を使用する方法で最も問題になるのが、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)です。排卵誘発剤の使用で卵巣が過剰に反応して腫れた場合、卵巣の周りに腹水が溜まり、進行すると胸水が溜まって呼吸が苦しくなったり、ごくまれに血液が凝縮して血管内で血栓をつくり命に関わることがあります。症状が強い場合、入院や手術が必要となることもあります。OHSSを予防するために、最大限慎重に管理を行い、採卵後にはOHSSの副作用を少なくする薬剤を使用することもあります。近年、治療法の進歩により重症のOHSSは減少傾向にありますが、事前に予測できない特異体質から起きることもあり、完全に予防することは残念ながら困難です。予想以上の卵巣の過剰反応が起きた場合、採卵前の治療の中止を行うことがあります。
重症OHSSの多くは、胚移植して妊娠が成立した後に起きていますので、OHSSがあらかじめ予想される場合には、採卵した周期には胚移植を行わず一旦胚を凍結保存(全胚凍結)しておき、卵巣の腫れが落ち着いた翌周期以降で融解して胚移植を行います。
2.麻酔
採卵中に行う麻酔(局所麻酔または静脈麻酔)により、呼吸抑制やアレルギー反応が出ることがあります。静脈麻酔後に、吐き気や嘔吐が出現することもあります。
3.採卵に伴う出血
採卵は経膣超音波下でモニターを見ながら、卵巣にある卵胞に針を刺します。細心の注意を払って採卵を行っていますが、採卵の際に腹腔内出血を起こすことがあります。ほとんどの場合、出血しても自然に止血しますが、必要に応じて入院・手術が必要になる場合があります。
4.採卵に伴う感染
極めて稀ですが、採卵により感染を起こすことがあります。特に子宮内膜症による卵巣嚢腫(チョコレート嚢腫)を合併されている方は、感染のリスクが高まります。抗生剤の使用により、感染予防および治療を行います。
5.多胎妊娠
妊娠した場合の問題として、多胎妊娠(双胎=ふたご、品胎=みつご)があります。多胎を予防するために、移植胚数は原則1個とされています。ただし、移植胚数を1個に制限した場合でも、子宮内で移植胚が分裂し、一卵性双胎(1.4%前後)、また極めて稀に一卵性品胎となることがあります。
多胎の場合の問題点は、母体側では妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開術や産後の異常出血の頻度が高いこと、胎児側では、流早産のリスクの上昇、低出生体重児、新生児の死亡率、障害の発生率が上昇することです。
6.異所性妊娠
体外受精胚移植の場合、異所性妊娠(子宮外妊娠)の頻度が少し高くなる(1~2%)といわれています。この原因の一つとしては、体外受精をお受けになる方はもともと卵管に問題がある(異所性妊娠を起こしやすい)方が多いことが考えられます。凍結胚盤胞移植では異所性妊娠の確率が低下します。
7.先天異常
体外受精胚移植により出生した児の奇形率や染色体異常の発生率は、自然妊娠の場合と差がない、ということが多くの統計で示されていますが、やや先天異常が多いとする報告もあります。
顕微授精の対象となる重度の乏精子症や非閉塞性無精子症などの造精機能障害がある場合、染色体や遺伝子異常が存在する場合があり、次世代に染色体や遺伝子異常が遺伝することが考えられます。現在のところ、男性不妊に関する遺伝子の治療はできません。
出生児の長期予後についてはまだ明らかになっていない部分があるため、これらの治療で生まれた児の長期フォローアップが必要とされています。
8.培養の中止など
採卵前に排卵したり、採卵をしても成熟卵子を回収できないことがあります。
顕微授精を実施しても、受精が確認できないことがあります。
また、分割しても発育が途中で停止したり、移植できないグレードの胚となる可能性があります。これらの場合は胚培養、胚移植が中止になります。