2026年4月18日
一般的に人工授精の1回あたりの妊娠率は約5~10%(🌹当院は約11%です)とされています。 この数字だけを見ると低く感じられますが、健康な男女が排卵日に合わせて性交渉(タイミング法)を行った場合の妊娠率が15~20%程度であることを考慮する必要があります。
また、「1回あたり5〜10%」というのは、人工授精を受けたすべての年代・背景の患者さんを平均した数字です。 年齢が若く、不妊の原因が軽いカップルでは1周期あたり10%を超えることもありますし、40歳前後や卵管因子を抱える方では5%未満に下がることもあります。 つまり、同じ「人工授精」でも、人によって期待できる確率はかなり違うのです。
もう一つ大切なのが「累積妊娠率」という考え方です。 1回の成功率が10%だとしても、数回続ければチャンスは積み上がります。実際、日本産婦人科医会などのデータでは、人工授精で妊娠した方の約8〜9割が4回以内に妊娠していると報告されています。 それ以降、回数を重ねても妊娠率は急激に低下し、1回あたり1~3%程度にまで落ち込みます。
また、「10人に1人しか妊娠しない」と聞くと、とても効率の悪い治療のように感じるかもしれません。 しかし、同じカップルが自宅でタイミング法だけを行った場合の妊娠率(通常4~5%と言われています)と比べると、人工授精はおおよそ2倍程度にあたるという報告もあります。 つまり、自然に近い方法の中でできることを最大限行い、妊娠のチャンスを「底上げする」治療と考えるとイメージが近いかもしれません。
一方で、どなたにとっても万能な治療ではありません。 卵管が詰まっている場合や、精子数・運動率が大きく低下している場合には、人工授精を何回重ねても妊娠率は上がりにくく、最初から体外受精や顕微授精を検討した方がよいケースもあります。 「何回やるか」だけでなく「自分たちの検査結果で人工授精がどこまで有効か」を、医師と一緒に整理することが大切です。