初診後に開始していく不妊スクリーニング検査中は、月経周期に応じて検査を行うため、数回の来院が必要になります。初診はいつでも構いません。受診しようと思ったところから検査していきましょう。
東京都の方は一般不妊検査・治療に助成金が支給されます。
不妊症の検査、検査一覧

初診後に開始していく不妊スクリーニング検査中は、月経周期に応じて検査を行うため、数回の来院が必要になります。初診はいつでも構いません。受診しようと思ったところから検査していきましょう。
東京都の方は一般不妊検査・治療に助成金が支給されます。
採血で月経時のホルモン基礎値を検査します
超音波検査
月経期にエコーを行うと、その周期の排卵に備えてエントリーした小さい卵胞(前胞状卵胞)が卵巣内に見えます。その数をカウントし、卵巣の力をチェックします。
超音波検査
卵胞のサイズや子宮内膜の厚さを検査し排卵日を予想します。必要に応じ血液検査を行うこともあります。また月経不順の方は特に、数回の来院が必要になることがあります。
ヒューナーテスト
(性交後検査)
検査前日の夜もしくは当日の朝に性交渉を行い性交後14時間以内にご来院いただきます。頚管粘液を採取後顕微鏡で観察し、子宮頚管(子宮口)の中に精子がどのくらい進入できているかを判定します。
黄体期中期(排卵の約1週間後、受精卵があれば着床する頃)にホルモン採血をおこない、着床に適したホルモン環境かどうか確認します。
超音波検査
卵胞のサイズや子宮内膜の厚さを検査しきちんと排卵したかどうか、子宮内膜が着床に適した状態になっているかを確認します。
*超音波検査は自然周期では月1回、排卵誘発周期では1周期に3回まで保険適応と決まっています
内分泌(ホルモン)の乱れが月経の異常や不妊の原因になることがしばしばあります。ホルモン値は採血時期により変動しますので、月経中(基礎値)と排卵後1週間(黄体機能)の2回行います。またAMH(抗ミュラー管ホルモン)も初診時に行います。また、甲状腺機能異常が生理不順や不妊、流産の原因となることもあり、甲状腺ホルモンの血液検査も行います。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣の小さな卵子の周りにある細胞から分泌されるホルモンでこれから発育していく卵子の数と相関するといわれており、卵巣内に卵子がどのくらい残っているのか=「卵巣予備能」を知る目安になります。個人差が大きく、ほとんどゼロに近い数値でも自然に妊娠・出産をしている方は多くいます。自然妊娠のしやすさや卵子の質(=年齢が若いほど良い)とは関係ありません。
治療方法の選択や、体外受精でどのような卵巣刺激を行うか、また採卵数の予想に用います。なお採卵できた卵子のうち、実際に移植できるのはおおよそ1/3~1/5(女性の年齢や精子・卵子の質次第)です。AMHの値が年齢相応より低いと、体外受精での採卵数が同じ年齢の方に比べ少なくなりやすいため不利になることがあります。低くなる因子として加齢、喫煙、肥満、卵巣疾患の既往、子宮内膜症、放射線、化学療法などがありますが、何もあてはまらない方も少なくなく、体質と思われます。
極端に数値が低い場合、現在のところ数値を増やす方法は見つかっていませんが、ビタミンDサプリ摂取、規則正しい生活、適度な運動、十分な睡眠、禁煙などを心がけてください。1以下の場合は、早めの妊活や不妊治療、治療のステップアップをお勧めします。ピルを内服中の方は見かけ上、値が3/4~半分くらいになることが多いですがピルを中止すれば3~4ヶ月で戻ります。生理不順の方(主に多嚢胞性卵巣症候群:PCOS)の方は、10以上などの高値となることがあります。高い場合、排卵誘発の調節が難しいことが多く、頻回の通院などのご協力が必要になります。
健康診断などで検査結果をお持ちの場合はご持参ください。検査項目を検討いたします。なお、後日ご持参いただきましても対応できないことがございますのでご注意ください。
| 貧血・肝機能・腎機能・糖代謝 | 不妊治療や妊娠・出産が安全に行える身体の状態かを確認させていただきます。 |
|---|---|
| 甲状腺機能検査 | 甲状腺ホルモンは高くても、低くても不妊症や不育症の原因となる可能性があります。異常がある場合は甲状腺専門病院をご紹介いたします。 |
| クラミジア抗体検査 | クラミジア感染の有無を採血します。クラミジアは卵管の癒着を引き起こし、不妊症や異所性妊娠(子宮外妊娠)のリスクとなることがあります。 |
| 感染症検査 | B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIVを検査します。院内感染予防と母子感染予防のために行います。 |
| 風疹抗体測定 | 妊娠中にかかると赤ちゃんに先天性風疹症候群を起こすことがあります。風疹の免疫が不足している場合、風疹ワクチンをお勧めします。ただしワクチンの接種後2ヶ月の避妊が必要となります。 |
| AMH(抗ミューラー管ホルモン)測定 | 自然妊娠のしやすさとは関係ありませんが、低値(1未満)の場合、早めの体外受精をお勧めします。また、体外受精の場合の注射の量をこの値を参考に決めていきます。 |
| 血中ビタミンD濃度 | ビタミンDが不足していると受精卵の着床率が下がり、流産率が上がると言われていますが、不妊症女性の87.3%がビタミンD不足と言われています。不足の場合、サプリをお勧めしています。 |
| 子宮頚がん細胞診 | 子宮頸がんの早期発見のため、2年に1回の子宮頸がん検診が推奨されています。2年以内に受けていない方は初診時に行います。 |
子宮内に内視鏡を入れ子宮内腔の状態を確認する検査です。慢性子宮内膜炎や子宮内膜ポリープがあると、受精卵の着床を障害し妊娠率を下げます。子宮鏡で治療が必要な子宮内膜炎やポリープが見つかった場合、必要な治療を行ってから不妊治療を開始・再開します。
*他院におかかりの方の子宮鏡検査のみはお引き受けしておりません。
不育症の検査は、流産後1~2回の月経を見送ってから行うのが基本です。まずはリスク因子の有無を調べ、見つかった場合は、それに応じた治療を行います。
※一部は保険適用になりますが、自費となる項目もあります。
妊娠はするけれども、流産、死産を繰り返して赤ちゃんを得ることができない状態を不育症と呼びます。
一般的には2回以上連続した流産や、妊娠10週以降の原因不明の流産・死産を経験されたご夫婦が不育検査の対象となります。
(不育検査の先進医療:β2GPIネオセルフ抗体検査)
流産は妊娠の10~20%に起こる妊娠最大の合併症です。2回連続して流産が起こる確率は4.2%、3回以上で0.9%と考えられます。日本では約3万人の不育症の方がいると推測されており、決して珍しいものではありません。
妊娠初期に起こる流産の約60~80%は受精卵の偶発的な異常(染色体異常)によっておこります。残念ながらこのタイプの流産を防ぐことは出来ません。年齢と共に流産の頻度が上昇しますが、偶発的なものですので次回の妊娠には影響しません。
しかしながら、不育症のご夫婦には、流産リスクを高める因子をお持ちの方がいます。リスク因子としては、内分泌代謝異常(ホルモン異常)、子宮形態異常、抗リン脂質抗体、血液凝固異常、夫婦染色体構造異常などが知られています。
ただし、リスク因子があるからと言って、100%流産や死産に至るというわけではありません。不育症と診断されても80%以上のご夫婦が生児を得ておられます。
検査には保険が適応される項目もありますが、自費診療となる項目もあります。
不育症の検査は、妊娠の影響を避けるため、流産後1~2回の月経が来てからの検査をお勧めします。
まずリスク因子の有無をチェックし、リスクがあればそのリスクに対応した治療を行います。
血液凝固異常や免疫異常を認める場合は、程度や流産歴に応じて低用量アスピリン単独療法や、低用量アスピリン+ヘパリン併用療法をお勧めします。いずれも当院で対応しております。
子宮形態異常を認めた場合は、その異常が流産のリスクとなっているか、手術が必要なのかなどを個別に判断いたします。手術が必要な場合、連携先の病院にご紹介いたします。
リスク因子を特に認めないご夫婦もしばしばいらっしゃいます。リスクを認めずご安心いただける方もおられますが、リスクがないことで、かえって不安になる方もいらっしゃいます。リスク因子のない方への薬物療法の有効性は現時点では示されておりません。このような方にはテンダーラビングケア(頻回に赤ちゃんのエコーをするなど)をお勧めしています。
近年、慢性子宮内膜炎と着床障害との関係が注目されています。慢性子宮内膜炎では、細菌感染などによる子宮内膜間質への形質細胞(CD138陽性細胞)の浸潤が見られます。内膜の組織を採取して、形質細胞(CD138陽性細胞)を特殊な染色で染める(免疫染色)ことで、慢性子宮内膜炎の診断がつきます。
内診台で子宮内膜組織を採取します。痛みは通常麻酔なしで行える範囲です。月経終了4日後から排卵後1週間以内の時期におこないます。
*月経が終わっていない時期や不正出血がある時に検査を行った場合、血液中の形質細胞が検出されてしまう可能性があり、正確な結果が出ないことがあります。
CD138陽性細胞を複数認めた場合は、抗生剤治療を行い、内服終了後に治癒確認のための再検査を行います。
*現在、子宮内膜炎の評価は、子宮鏡検査や先進医療のEMMA・ALICE検査もしくは子宮内フローラ検査をメインとしていますが、ご希望により検査可能です。
精液量・精子濃度・精子運動率・前進運動率・白血球数を調べる検査です。不妊で悩むご夫婦の約半数は、男性側にも原因があります。効率よく治療を進めるために早期にお願いしたい検査です。禁欲2〜7日でお受けください(完全予約制)。
※男女で不妊検査・治療をされる方を対象としております。
精子DNA断片化指数(DNA fragmentation index:DFI)検査とは、従来の精液検査では評価できない精子の質に影響する精子DNAの断片化を測定する検査です。精液検査で精子濃度や運動率が良好であっても、酸化ストレスなどのダメージでDNA(遺伝情報が載っている部分、人間の設計図)は傷ついたり切断されていることがあり、そのような精子の割合が多いと自然妊娠や人工授精による妊娠の可能性が低くなります。また、体外受精や顕微授精を行った場合でも受精率や胚盤胞到達率、妊娠率が低下したり、流産率が上昇したりすることが知られています。
高値(24%以上)の場合、体外受精での流産率が約4倍になります(当院データ)。精子は作られるのに3ヶ月かかります。必要時早めに対処するためにも初診時の評価をお勧めいたします。
子宮卵管造影は造影剤を子宮内に注入し、造影剤が子宮から卵管を通り腹腔内に流れ出す様子をX線で観察する検査です。子宮内腔の形、卵管の通り具合、卵管の出口周囲や腹腔内の癒着の有無などがわかります。また、治療的な効果もあり、この検査後妊娠されることをよく経験します。よく痛いと言われていますが、痛みを抑えるための工夫がいくつかあり、軽い生理痛(もしくはお腹が下痢で差し込んだときのような痛み)程度で終わる方がほとんです。
当院では、原則水溶性の造影剤を使用します。水溶性造影剤は油性造影剤に比べ、お腹の中に残留することはなく、甲状腺機能への影響も少ないとされています。すぐに妊娠された場合も胎児への影響はありません。ヨードに対するアレルギーがある方、喘息をお持ちの方には行わず、卵管通水検査を行います。
*他院におかかりの方の子宮卵管造影検査のみはお引き受けしておりません。
超音波に映る液体を子宮内に注入し、液体が子宮から卵管を通り腹腔内に流れ出す様子を超音波検査で観察する検査です。X線を用いた検査に比べると精度は落ちますが、造影剤アレルギーのある方、喘息合併の方には行っています。
*他院におかかりの方の卵管通水検査のみはお引き受けしておりません。
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